高齢者の方が筋力トレーニングを実施する目的で多いのが、転倒予防になります。
転倒予防に関しては、高齢者だけではなく、事務作業が多い方など運動量が低下している方にはぜひ筋力トレーニングを取り組んでいただきたいと思っています。
ターゲットとなる筋肉
転倒予防のための筋力トレーニングのターゲットとなる筋肉をリストアップすると以下のリストになりますが、基本的には全身のトレーニングが必要だと考えていただきたいです。
- 前脛骨筋(足のスネの前の筋肉)
- 下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)
- 大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)
- 大臀筋(お尻の大きな筋肉)
- 中臀筋(お尻の外側の筋肉)
- 腸腰筋(鼠径部にある筋肉)
このように筋肉の名前と部位を言われても全く分からないと思いますので、転倒予防するための筋力トレーニングの目的を理解しやすくするために、筋肉の名前や部位ではなく、身体の動きによって説明していきたいと思います。
今回の転倒予防の筋力トレーニングは、歩行時につまずいて転んでしまう転倒の予防に焦点をおきたいと思います。
また、つまずいて転んでしまう転倒の予防には、筋力トレーニングだけではなく、バランストレーニングや認知・ビジョン(視覚)トレーニングなど他のトレーニングも必要になります。
今回、説明させていただく歩行時につまずいて転んでしまう転倒予防の筋力トレーニング以外の転倒予防に関してはまた別の記事で説明したいと思っています。
歩行を2つに分ける
前置きが長くて申し訳ありませんが、転倒予防の筋力トレーニングを説明する前に、歩行を2つに分けたいと思います。
- 足が地面に接地している
- 足が地面から浮いている
歩行は、1つの足の動きを観察すると、足が地面に接地している時と足が地面から浮いている時に分けることができます。
また、歩行分析では、3つのフレーズに分けられている場合もあります。
3つのフレーズ
- 1つの足(右足)が地面に接地している+もう片方の足(左足)が地面から浮いている
- 両足、地面に接地している
- 左足が地面に接地している+右足が地面から浮いている
上記の3つのフレーズも基本的には、足が地面に接地しているか、足が地面から浮いているかで説明されているので、今回は足が地面に接地しているか、足が地面から浮いているかの2つの動きで転倒予防のための筋力トレーニングについて説明します。
足が地面に接地している動き
足が地面に接地している動きで転倒予防に関わる動きは、
- つま先が地面に接地していて、踵をあげる動き(下腿三頭筋)
- 膝を伸ばした状態で動的なバランスを維持する動き(大腿四頭筋)
- 前に進むために股関節を伸ばす動き(大臀筋)
これらの3つの動きになります。
動きの横にある()内の筋肉の名前は、ターゲットとなる筋肉とリストアップさせて頂いた筋肉で特に重要な筋肉になります。
足が地面から浮いている動き
足が地面から浮いている動きで転倒予防に関わる動きは、
- つま先を上げる動き(前脛骨筋)
- 膝を上に上げ、股関節を曲げる動き(腸腰筋)
- 足が地面から浮いている時に骨盤や上半身、体幹の動的バランスを維持する動き(中臀筋)
上記の6つの動きに対して筋力トレーニングすることによって、これらの動きに関わる筋肉を鍛えることができ、転倒予防となります。
筋力トレーニングのエクササイズ例
- 椅子に座り踵を床につけた状態でつま先を上げる(トゥレイズ)
- 椅子に座りつま先を床につけた状態で踵を上げる(カーフレイズ)
- 椅子に座り両足を床につけた状態で膝の位置を変えずに片足の膝を伸ばす(ニーエクステンション)
- 椅子に座り両足を床につけた状態から片方の足の膝の曲げた角度を変えずに、膝を胸に近づけるように膝を上げる(ニーアップ)
上記の例のように重りなどを使わずに自分の体重で実施することができるため、高齢者の方でも無理せずに筋力トレーニングを始めることができます。
注意点としては、呼吸を止めないことです。
意識的に鼻から息を吸い、口から吐くように呼吸を続けてください。
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