多くの高齢者の方が膝の痛みに悩んでいますが、あまり筋力トレーニングをしていません。
また、実際に医師にはトレーニングやリハビリをするように指導されていますが、継続できていないという方もいらっしゃいます。
今回の記事は、アメリカで大学院を修了し、スポーツ現場だけではなく、整形外科の病院やリハビリのクリニックで活動していたアメリカの準医療資格であるアスレティックトレーナーが高齢者の膝の痛みに対する筋力トレーニングの重要性について説明しています。
3つのポイント
- 健康寿命の延伸
- 加齢に伴う筋力低下
- 衝撃吸収という筋肉の役割
上記の3つのポイントで、膝の痛みで悩んでいる高齢者の方が筋力トレーニングを実施する重要性について説明します。
文字ではなく、動画で知りたい方はこちらの動画をご覧ください。
健康寿命の延伸
筋力トレーニングは、筋肉に刺激を入れるだけではなく、神経や脳、そして心にもプラスの効果があります。
筋力トレーニングをすることで筋力アップ以外にも、健康に対してプラスの効果があります。
膝の痛みだけではなく、慢性的な痛みは、どれくらい組織が傷ついているから痛いと感じるだけではなく、心理的なストレスなど脳内でのプロセスによって影響を受けています。
このような心理的なストレスを含め、脳内での痛みのプロセスに対しても筋力トレーニングはプラスに働きます。
筋力トレーニングでできなかったことができるようになり、回数や負荷の量を増えることによって達成感などを得ることができ、痛みというマイナスな部分に目を向けるのではなく、視点ができることや未来に向けることができます。
膝の痛みに対する他のアプローチとしては、痛み止めやサプリメント、膝のサポーターなど様々ありますが、これらのアプローチは基本的にはマイナスをゼロに変えるアプローチになります。
筋力トレーニングは、マイナスをゼロに、そしてゼロからプラスに変えられるアプローチになります。
加齢に伴う筋力低下
年を重ねるごとに筋肉に刺激を入れ、使わない状態が続けば筋力の低下が加速してしまいます。
老化によって、日頃の日常的な活動量なども低下し、筋力は低下します。
筋力は、気づかないうちに低下し、筋力の低下に本人や周りの人が気づいた時にはかなり筋力が低下してしまっている場合もあります。
ただ、筋力が低下してしまったとしても、筋力トレーニングを始めるのに遅すぎることはありません。
適切に実施することで筋力トレーニングは効果を得ることを期待することができます。
筋力トレーニングと聞くと、重いものを持って筋肉隆々の若い人が実施しているイメージがあるかもしれませんが、筋力トレーニングにも様々なエクササイズがあり、強度をコントロールすることもできます。
衝撃吸収という筋肉の役割
筋肉の役割には、力を発揮して、物を動かしたり、歩いたり、走ったりするというイメージしかないかもしれませんが、筋肉の役割には衝撃・力を吸収する役割もあります。
一番イメージしやすく分かりやすい例としては、ジャンプをした後に着地する際には、膝や股関節を曲げ、衝撃を筋肉で力を吸収しています。
このような着地などでの衝撃の吸収は筋肉だけではなく、骨でも吸収されています。
ただし、高齢者の場合には、老化に伴い、骨の衝撃を吸収する機能も低下してしまっています。
この衝撃を吸収する機能が低下すると、膝の痛みの原因となってしまうため、サプリメントとして骨のためにカルシウムや、軟骨のためにコラーゲンなどを摂取することが推奨される場合もあります。
もちろん、カルシウムやコラーゲンなど骨や軟骨にも気をつける必要はありますが、筋力トレーニングでは、筋肉だけではなく、骨にも刺激を入れることができます。
まとめ
高齢者の膝の痛みに対する筋力トレーニングは、
- 加齢に伴う骨や筋肉の衝撃を吸収する能力の低下を妨げ、しっかりと衝撃から膝を守る
- 衝撃などから膝を守るだけではなく、神経や脳、心理的にもアプローチすることができ、より中長期的な健康に対してアプローチできる
最後に注意していただきたいのは、膝の痛みに対する痛み止めやサプリメント、膝のサポーターなどを否定しているわけではありません。
筋力トレーニングとこれらを併用することが大切ですし、筋力トレーニングはやればやるほど良いのではなく、適切な量で実施することが大切になります。
無理をせずに、身体の反応を確認しながら少しずつ安全に実施するようにしてください。
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